高野竹工

京都長岡京 竹・木工芸品製造

高野竹工株式会社

1941年、京都市中京区にて前身である「高野竹工芸店」として誕生。
創業当初より茶杓、竹花入を中心に竹を用いたものづくりを行う。
1973年の株式会社設立以降も製作の幅を広げ、現在では日用雑貨からアクセサリーといった小物類やカトラリー、更には施設や店舗の装飾・施工まで手掛け、「竹」の持つポテンシャルを日々追求し続けている。

高野竹工

国内有数の竹の名産地として知られる京都・長岡京市。
その歴史は古く、江戸時代、長岡京を含む一帯では年貢の一種として竹も納めなければならないという決まりもあったほど。
そんな長岡京で70年以上に渡って、竹を中心としたものづくりに取り組んできたのが高野竹工株式会社です。
知れば知るほど奥深い「竹」という素材と向き合い、その底知れない魅力を探究する職人さんたちの情熱に迫りました。

「竹」の難しさとおもしろさ

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「竹」の難しさとおもしろさ

「竹」の難しさとおもしろさ

石上さん野崎さん

今回お話を伺ったのは、商品企画などに携わる石上さん(右)と、職人として実際に工芸品の製作を担当する野崎さん(左)。
お二方も竹に魅せられ、竹材でのものづくりの道を歩んでこられましたが、そもそも「竹」ってどんな素材なのでしょうか。

竹について

「なかなか手のかかる、面倒な素材です(笑)。竹は育つのが早くて(植樹してから)すぐ使えるだろうと思われがちですが、太く育てるのに地面に生やしている状態で5~7年くらいはかかりますし、伐採してからも油抜き、天日干しといった工程を経たのち5~10年は乾燥させます」

油抜き

この工程の中でも特に重要なのが「油抜き」。京都では主に『火炙り』という方法で行われるこの作業は、伐採した青竹に含まれる油分を火で炙り出すというもので、油抜きをしないと虫がつきやすい、シミになる、色つやが悪くなる、劣化しやすくなるなど、竹材として使用できるものにはならないとのこと。その後の天日干し~乾燥も、竹の中の水分をしっかり抜いて割れにくくする大事な作業です。

スギやヒノキが材木として育つのに50年以上要するのと比べるといくらか早く感じますが、やはり良質な竹材を手に入れるためにはそれだけの手間暇がかかっているのです。

しかし、これだけの下準備をしても加工が難しいのが竹という素材。

様子見

「製作途中で竹が割れてしまうこともありますし、完成してからも数日は(割れが生じないか)様子を見ます。茶道具は『筒もの(竹の円柱の形状をそのまま活かす形)』が多く、特に割れやすいんです」

繊細な素材

完成後に割れてしまうこともあるというほど繊細な素材である竹から巧みに製品を生み出していくのは、野崎さんをはじめとする職人さんたち。

高野竹工では竹の加工をおこなう竹職人の他にも、茶器を入れる桐箱などをつくる指物(さしもの)職人や、金粉などで文様を描く蒔絵職人、器に美しい光沢を与える漆塗職人など、茶道具に関わるあらゆる分野の職人さんが、細部にまでこだわりを持って製作されているのです。

竹の根本

ともすれば扱いづらそうにも思われる竹という素材ですが、いったいどこに魅力を感じられているのでしょうか。
「なかなか思いどおりにはいかない難しさというか、クセのある素材ではあるけれども、そこにおもしろみがあります」と野崎さん。

「節張っていたり曲がっていたり。割れが発生することも含めて、自然の形を巧く見極めて製品のかたちに落とし込むことに挑戦し続けられるのがおもしろいですね」

自然由来のものに手を加え、道具として人間が使いやすい形にする。その過程にあるいくつもの失敗の先に、新たな発見があると語ります。
そこに「おもしろさ」を見出す職人さんたちにとってその行為は、「支配」でも「懐柔」でもなく、自然と「対話」することなのかもしれません。

美的感覚を研ぎ澄ませて

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美的感覚を研ぎ澄ませて

美的感覚を研ぎ澄ませて

ものづくり

高野竹工で作られる品々は、茶道具のみならず生活雑貨やアクセサリーに至るまでの幅広さ。更には、竹材に限らず国宝に認定された建築物などの古材を再利用した作品づくりや、近年では嵐電(京福電鉄)嵐山駅をはじめとする、公共施設や店舗の竹装飾の製作といった、施工関連のお仕事も手掛けられています。「竹を用いた茶道具づくり」からスタートした高野竹工が、なぜここまで広い範囲の「ものづくり」をおこなうのでしょうか。

石上さん

「創業者である先代の想いを直接聞いたわけではありませんが―—弊社は素材を知り竹を見立て、様々なご依頼や製作に美的感覚を研ぎ澄ませて挑戦し続けています。」

美的感覚。

「質の良い竹材の産地であるという京都の側面と、茶道文化が醸成された地であるという京都の側面が組み合わさって『竹での茶道具づくり』が始まったわけですが、その根幹には『竹そのものの美しさを追求したい』という探求心があったんじゃないか、と思います」

根本の器

竹の幹だけでなく根元の部分からも器を作り出したり、制作過程で割れてしまったものもまた別の作品に作り替えたり。そうして生み出された作品の数々は、『篁(たかむら)』『ばんてら』といった直営店に並び、訪れる人の目を楽しませてくれます。それはまさしく、石上さんの言葉どおり「美的感覚を研ぎ澄ませ」ることで辿り着いた境地なのかもしれません。

もちろん、見た目だけでなく実用的な側面についても、職人さんたちのこだわりが息づいた仕上がり。「使い込んでいくなかで、その味わい深さを感じていただければ」と野崎さんは語ります。

野崎さん

そんな野崎さんは現在、中国茶器を京都の竹でつくっているとのこと。道具の形状が日本の茶道具と異なるというだけでなく、もともと性質がまったく違う中国の竹でつくられているものを日本の竹でつくるというのは、まさに困難の連続なのだとか。
しかし、既成概念やルールに囚われることなく、ただ純粋に竹という素材の可能性を追い求めるべく試行錯誤を繰り返すその姿勢は、取材を通して拝見したものづくりの現場からもひしひしと感じるのでした。

竹の靴べらができるまで

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竹の靴べらができるまで

竹の靴べらができるまで

PLAYCOURTとのコラボレーションでは『竹の靴べら』を製作。
竹材が美しい靴べらに形を変えていくその行程をご紹介します。

材料となる竹材

材料となる竹材。表皮の状態などをチェックし、使える部分とそうでない部分を分けてマーキングします。

機械

切り分けられた竹材は機械にセットされ、プログラムされた形に切れ込みを入れる工程。
機械ですべて切り出してしまうと、割れが生じる恐れがあるのです。

切り離し

先ほどとは別の機械を使って、要らないところを丁寧に切り離していきます。

切り出された状態

完全に切り出された状態。靴べららしい形が見えてきました。

やすりで整える

切り出した側面のささくれを、高速で回転するやすりで整えます。

仕上げ

仕上げに、靴べらの先端をかかとにフィットしやすいように微調整して完成。

無駄のないフォルム

見惚れてしまうような無駄のないフォルム。
PLAYCOURTの靴べらは、持ち手に着色が施されたオリジナルデザインです。